ダークウェブ。
そこには、見たことのないインターネットの世界が広がっている。
当時中学生の僕は2chでその存在を知り、好奇心で居ても立っても居られなかった。
ダークウェブは犯罪の温床、麻薬や銃の密売が行われている、児童ポルノで溢れているところだと話を聞いていた。
また、ダークウェブに繋いだらすぐにウイルス感染する、パソコンが壊れるという噂もあった。
でも、隠されたら、やっぱり、見たくなる。
それが人間の本能的なところを突いている気がする。
僕は2chの情報を元にインターネットでダークウェブの接続方法を調べた。
今思うとダークウェブというよりは、その中の1つである裏2ちゃんねるに繋ぐ方法だったけど。
どうやら、ダークウェブに繋ぐにはTorブラウザという専用のブラウザが必要だということが分かった。
そこからはかなり苦戦した。ダークウェブへはTorブラウザを使うだけで、
Googleで検索してアクセスするなんて方法じゃアクセス出来ない。
アクセスしたい先のURLを知らないとアクセスが出来ないのだ。なんとかして裏2ちゃんねるのURLを知らなければ、到達することが出来なかった。
中学生の僕にとって、それはとても大変なことではあったが、それと同時により一層わくわくした。
知っている者だけがアクセス出来る世界。それがとても心地のいい響きだった。
インターネットでひたすら検索したり、2chで裏2ちゃんねるへのアクセス方法を聞いたりした。
当時の2ちゃんねらーには厨房乙と言われたり、
2chの名前欄にfushianasanと入力して投稿すれば裏2ちゃんねるにアクセス出来ると嘘をつかれIPアドレスを公開してしまったりしたが、
めげずに調べ続けたところ、ついに本当の裏2ちゃんねるにアクセスすることが出来た。
騙され続けて疑心暗鬼になっていた僕は、InternetExplorerやFireFoxを使ってアクセスしても繋げないことを確認してみた。
本当に繋げなかった。Torブラウザを使わないとアクセスが出来なかった。
これがダークウェブか…
感動と達成感で僕は舞い上がっていた。
早速、裏2ちゃんねるに投稿されている内容を見たところ、噂通り麻薬や銃の密売がされていた。
ただ、いくらダークウェブだからと言って堂々と販売しているわけではなく、言葉を変えて(草とかだった気がするけど忘れた)販売されていた。
本当に販売していたのか、詐欺目的だったのかは、購入しようとすらしていないので分からないが、アンダーグラウンドに入ってしまったのは自明だった。
他にもどんな書き込みがあるか裏2ちゃんねるを見ていると、いくつか画像のURLが貼られていた。
裏2ちゃんねるにはどんな画像が貼られているんだろう…?という好奇心から僕は安易に画像を開いてしまった。
そこには、少女の生々しい遺体の画像があった。
どこからこんな画像を手に入れるのか、コラじゃないのか、そんなことすら考えれないくらい動揺してしまった。
そして、その日以来、僕はダークウェブにアクセスすることはなくなった。
ウイルスに感染したような挙動や、ウイルス対策ソフトでの検知はなく、PCはパッと見無事だったが、今思うとボットネットの一部くらいにはなってたかもしれない。
ダークウェブなんて用がなければアクセスしないに越したことはありません。
興味や好奇心が沸くのは凄く気持ちが分かるし、実際に行動を起こしてしまった僕が言っても説得力がないかもしれませんが、本当にやめておいた方がいいです。
当時はまだウイルスを作る人たちも金銭目的より愉快犯が多かったので、大した被害はありませんでしたが、今は完全に金銭目的の格好の餌となってしまいます。
現実もリアルも、危険な場所に近寄るのは、やめよう。